読了-『校閲ガール』by 宮木あや子
本作品は「校閲」という職業で働く女性のエンタメ作品。
連作短編形式で、一話ごとに校閲する作品が変わる。
こう えつ かう- 0【校閲】
( 名 ) スル
印刷物や原稿を読み、内容の誤りを正し、不足な点を補ったりすること。 「原稿を-する」 「 -を受ける」 『大辞林 第三版』より
出版される印刷物でほぼ必ず通る(多分)校閲。世間での知名度は決して高くないが出版業界に関わる人や関わりたい人ならばおそらく聞いたことがある仕事である。
私は同人誌を数冊出しているが、恥ずかしながらこの本で校閲の仕事という仕事の詳細を知った。この本というより、この『校閲ガール』を原作にしたドラマ『地味にすごい!校閲ガール・河野悦子』を視聴して知った。(一話しかみなかったが。)
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ドラマを見たとき、出版業界にあこがれを持ちながらも知らなかったことに、「まだまだあこがれの業界に関して知らないことがあったのか! やっぱり好き(意味不明)」という感想を抱いた。これ以上ドラマの事をかくと話がそれるので割愛するが、とても興味をそそられた。
そして先日ドラマ放送より大分時間が経ってしまったが、購入・読了した。
この本やドラマを見るにあたって、一番重要なことは「この作品がフィクション」だということ。実際に働いている人から見れば、新人ではありえないなどの声もあるようだ。けれどもこれはフィクションであり、エンタメ作品である。変に現実に合わせるのはリアリティではない。
主人公・河野悦子はファッション雑誌しか読まず、ファッション雑誌の編集者を希望して景凡社に入社するが配属されたのは校閲部。二年目の彼女は上司のエリンギに「もしかしたら頑張って優秀だと希望の部署に配属されるかも(要約)」といわれて日々仕事をこなす。そんな日々の中で大御所作家のエロミス小説や覆面作家の独特な小説などを悦子は校閲する。新人の悦子は奮闘しながら校閲をするが、誤字脱字もだが物語上のつじつま(新幹線の時刻など)を実際に足を運んで確認する姿はとても新人ゆえの努力であると感じる。
どの話も読みやすく、ドラマでも見たあのテンポの良い会話が文章上で織りなされている。ドラマという映像作品にたいして文章である小説は悦子が校閲している文章が登場している。もちろん、作者の宮木あや子先生が書かれているのだが、第二話に登場する是永 是之(これなが これゆき)の書き下し、第三話に登場する時代小説の文体は校閲ガール全体のリズミカルなものとは違ったテイストの文章である。しかも校閲前のもので直後に悦子が校閲部分をしているため、「なんちゃって校閲-お試し版-」ができるわけである。楽しい。暇があればやってみるといいだろう。
会話重視のテンポの良い作品なのでドラマからという人も、普段小説は読まないと言う人も比較的楽に読めるだろう。
【基本データ】
タイトル : 校閲ガール
作者 : 宮木あや子
レーベル : 角川文庫
出版社 : KADOKAWA
ISBN : 978-4-04-104220-5
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